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展示室3.・4へと向かう途中にある赤い格子窓近くの足型の上に立つと・・・
あら不思議、目の前に現れるのは外の景色と水に浮かび、空を映し出す鏡の作品。
「宙の下の空」本郷仁 2021年
「風景装置#7~旅の記憶の旅~」2021年 撮影:柳原良平
壁に投影されたスライド写真が鏡に反射しながら記憶の断片のように散らばる。時を記録する写真は真実を映しだし、ノスタルジックな記憶は都合よく再構築される。鉄道の車窓からの眺めのように風景はゆっくりと流れ、送電線の鉄塔を思わせる脚部を持つ。
「風景劇場」2021年 撮影:柳原良平
鏡の月や雲、階段が配され、壁や台に貼られた絵葉書の中の風景は本郷以外の手によって繋がれてゆく。そこには見たことのない新しい風景が誕生し、自分の知らない、見えないけれどそこにある風景の存在を認識させるとともに、旅への憧れが見え隠れする。
「風景装置#8~波はどこへゆく~」2021年 撮影:柳原良平
この装置は天秤の両端にぶら下げたボトルをチューブで繋ぎ、天体を模したガラス玉の回転によって天秤が傾くことで、水がボトルを行き来する仕組みである。クリップで遮断された水が流れ出すとき、天秤はバランスを失う。テーマは「世界の海は繋がっている」。水は海を表し、海(風景)は繋がっていることを意識させ、ボトルに沈む小さな石は東日本大震災に関する諸問題を暗示する。
「風景装置#6~家の重さ~」2021年 撮影:柳原良平
鏡の家が回転し、水の入ったガラス玉は眼球のように風景を逆さまに写し込む。本来シェルターであるべき家が非常に不安定な状態で吊るされ、家の中から視線を外に向けると、風景と自分自身が繋がる感覚が生まれる。壁にはスライド映写機で様々な写真を投影し、外への不安感と憧憬を表す。
「波はどこから」2021年 撮影:柳原良平
鏡の裏側をサンドブラストでストライプに削ったスクリーンに、本郷が暮らす富山の空と海を映し出す。映像は徐々に回転し、空と海であることが分からなくなる。「波」をテーマにしたコーラスは日本語の「波」とラトビア語で波を意味する「vilnis」という言葉を音節に分解、合成し、自在に変化する波の動きを表現する。
「見えない都市」2021年 撮影:柳原良平
視線の軌跡がとらえる物体の輪郭にとどまらず、鏡に映る像や鏡が放つ光と影をも作品に取り込んだ「視線のかたち」シリーズの4点を組み合わせ再構成する。「見えない都市」はイタリアのイタロ・カルヴィーノの同名小説(マルコ・ポーロが訪れた奇想天外な都市についてフビライ汗(カン)に報告する物語)に着想を得、鏡の都市のイメージを具現化する。
「 透(とお)る境界」2021年 撮影:柳原良平
タイトルの境界とは、境界のこちら側とあちら側を分け隔てるものではなく、繋ぐ、もしくは混ぜるためのものである。景色が混ざり合い、何を見ているのか分からなくなることで「みていること」をリセットさせ、「みること」で分かった気になり見落としてしまうもの、失われていくものがあるのではと問いかける。
新型コロナウイルス感染症拡大防止のため臨時休館を
8月31日(火)まで延長することになりました。
皆さまには大変ご迷惑を期おかけいたしますが、
なにとぞご理解賜りますようお願い申し上げます。
臨時休館:7月31日(土)~8月31日(火)